2012年8月15日水曜日

「しゃきらもない」

 図書館で借りてきた阿刀田高『日本語えとせとら』(角川書店、2012年)を読んでいる。読み進むうち、母がよく人と話していた「しゃきらもない」を思い出す。いつも聞いていた言葉なのでおおよその意味はわかる。だが、その意味は確かでない。古い言葉を聞ける人ももう周りにいない。遊び半分で、ネットで検索するとあるわ、あるわ。

 なんと若い人もブログに書いている。この言葉を聞いたことがあるモノも我が家くらいかと思ったらそうでもなさそうだ。親が使っていた言葉も子どもの世代になるともう使わない。いずれ死語になるのだろうか、この言葉。検索では新潟、魚沼、石見、出雲、小国、松代町、広島など日本海側で多く使われている。

しゃきらもねえ 乱雑な 際限がない 途方もない (出雲弁)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~izumobenn/izumo/special/sennryuu/k_sen_sa.htm

しゃきらもねえ つまらない、どうでもよいこと(新潟)
http://okwave.jp/qa/q509796.html

しゃっきらもない 愚にもつかない
http://www.asahi-net.or.jp/~qm4h-iim/ktb_frmd.htm

しゃきらもね  とんでもない  (信州松代)
http://www3.ocn.ne.jp/~tomi1210/sub4.html

しゃきらもね くだらない (魚沼)
http://www.hakkaisanroku.com/jiten/sa.htm

しゃきらもなぁ しゃきらもない 見境がない 途方もない(広島弁)
http://kogitsuneza.blog98.fc2.com/blog-entry-245.html

しゃっきらもねぇ くだらない (新潟県中越地方) 
http://majonaese-wurst.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-8e4e.html

しゃっきらもない、しゃきたもない つまらない、くだらない(熊本小国)  http://park.geocities.jp/hennaka_t/kotoba/hougen.htm

 このように羅列してもやはり母は広島人。広島弁の「しゃきらもない」は「見境がない」がいちばんピッタリする。とはいってもこの「見境がない」も使用しないけど……。母が伯母たちに話す電話のやり取りでよく聞いた。「そういうことを言って、しゃきらもない……」。

 今日は雨も上がり、朝から洗濯をしたり、明日で閉店するスーパーへ出かけたりする。その暇にネットで検索して遊ぶ。伝承文化が廃れていくと言われる。しかし、方言一つをとってもネット社会でまだまだ根付いている。大丈夫だ。

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